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個性派俳優・峯田和伸が語る、俳優業とアーティスト活動のスタンス

2018年06月20日(水)配信

沢尻エリカ主演映画『猫は抱くもの』(6月23日公開)で、浮世離れした存在感を放つ画家・後藤保(ゴッホ)役を演じた峯田和伸。ロックバンド・銀杏BOYZのボーカル&ギターとしてパワフルに活動しつつ、俳優としてのオファーもあとを絶たない。彼は俳優業にどんなスタンスで臨んでいるのか?峯田に単独インタビューし、その答えを探った。『グーグーだって猫である』(08)の犬童一心監督が手掛けた本作は、人と猫との交流を実験的なアプローチで撮り上げた意欲作だ。沢尻が演じるのは、かつて売れないアイドルだったアラサー女子・大石沙織。投げやりな日々を過ごしている彼女が、唯一心のよりどころにしているのが、飼い猫であるロシアンブルーの良男だった。本作における猫のシーンは、本物の猫が登場するシーンと、吉沢亮たち俳優が擬人化された猫を演じるシーンの2パターン。峯田演じるゴッホは、音楽ユニット・水曜日のカンパネラのコムアイ演じる猫・キイロの飼い主だ。前から気になっていたという犬童監督からのオファーを受け、峯田は胸が熱くなったそうだ。「誘ってもらえたことがうれしかったし、独特の空気感のなかに自分がどう混じっていけるのか、とても興味を持ちました。ゴッホについては、『ムーミン』のスナフキンみたいな存在だと感じ、それなら自分にもできそうかなと思ってお引き受けしました」。初共演の沢尻については、仕事への真摯な向き合い方に感心したそう。「会う前は“強い人”、“いかにも女優さん”というイメージを持っていましたが、現場で初めてお会いした実際の沢尻さんは、待ち時間も座って台本を読んだり、台詞を声に出したりしていて、すごく真面目な人という印象を受けました。スタッフの方とも分け隔てなくやりとりをしていたし、相手の目を見て会話をされる、真っ直ぐな人だと思いました」。峯田は、沢尻と犬童監督とのやりとりをずっと見ていたと言う。「沢尻さんは、主演だから偉いとかではなく、映画を作る俳優部の一員という感じだったので、周りの人たちも身が引き締まりました。監督から求められることは『わかりました。やってみます』と言って全部やり、そこからどんどん肉付けされていくんです。それを見て『ものづくりの現場ってこうあるべきだよな。理想的だな』と思いました」。映画初出演にして初主演を飾った『アイデン&ティティ』(03)で、俳優として鮮烈な個性を放って以降、主演でも端役でも独自の存在感を発揮してきた峯田。近年はNHK連続テレビ小説「ひよっこ」でお茶の間でもブレイクし、今後は日本テレビ新水曜ドラマ「高嶺の花」(7月11日スタート)や、来年のNHK大河ドラマ「いだてん〜東京オリムピック噺〜」が待機中だ。俳優のオファーを受けると、常に制作サイドに立ち、その作品にとって本当に自分が必要なのかどうかと考えてしまうという峯田。「僕は普段、音楽をやっていて、自分で作詞や作曲などをする裏方の立場にもいるので、台本やプロットをいただいて読んだ時も、なぜ自分を選んでくださったのかを、冷静に考えるようにしています。それで、自分がその役として作品に溶け込めそうだと思ったら、お受けします」。銀杏BOYZとしてのアーティスト活動と俳優業とでは、自分の立ち位置が異なるようだ。「僕は“ミュージシャン”や“アーティスト”というよりも、“下北界隈のバンドマン”というくくりのほうがしっくり来ます。自分で曲を作り、バンドのリーダーやプロデューサーも兼ねるという感じで、全部自分でやってきたので、そこしか知らないんです。でも、映画やドラマの場合、主導権は監督にあり、僕はただ台詞を覚え、遅刻しないで現場に行くだけ。だから自分自身を客観的に見ることができるのでありがたい。音楽活動のプラスになるように参加している気がします」。いまや俳優としても引っ張りだこの活躍ぶりだが、本人としては「演技をすることについて、まだおもしろくなっていないんです」と述懐する。「ちゃんと作品に馴染んでいればそれだけでよくて。本業が役者じゃないにしても『僕だけ浮いてないかな?』とか『ちゃんとその世界に生きていればいいな』とか、そういうことばかりを考えて作品を観てしまう。だから自分の出演作はあまり観ないようにしていますし、スケジュールもバンド優先なので、あまりお芝居だけに偏らないようにしています。こっちの世界で有名になりたいと思ったこともないです」。とは言っても、世間が俳優としての彼を放っておかない。本作での画家・ゴッホ役も、峯田本来の持ち味といえる、何者にも縛られない自由な旅人のような雰囲気が絶妙で、後半で彼が振るう熱弁は、観る者の心を射抜く。実はその台詞の一部は、銀杏BOYZのライブを観た犬童監督が、峯田のMCにインスパイアされ、追加したものだとか。すなわちゴッホ役は、“下北界隈のバンドマン”・峯田和伸と俳優・峯田和伸の名コラボレーションにより生まれたものだと思うと実に感慨深い。

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