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『百円の恋』の監督&脚本家コンビが語る、連ドラ「盗まれた顔」の魅力

2019年01月04日(金)配信

玉木宏主演の「連続ドラマW 盗まれた顔 ~ミアタリ捜査班~」(毎週土曜22時~第1話無料放送・全5話)が、1月5日(土)よりスタート。芥川賞作家・羽田圭介の小説を、WOWOWプライムで初めて連続ドラマ化した同作は、第39回日本アカデミー賞など、その年の映画賞を多数受賞した『百円の恋』(14)の武正晴監督と脚本家・足立紳の名コンビが手掛けた。2人にインタビューし、本作の制作秘話を聞いた。“ミアタリ捜査班”とは、何百人という指名手配犯の顔を脳裏に焼き付け、駅や繁華街などを歩いて容疑者を捜し出す捜査員たちのこと。玉木演じる主人公の白戸崇正は、3000人もの顔を記憶しているその道のベテランで、部下の安藤香苗(内田理央)や谷遼平(町田啓太)からも一目置かれている。ある日、白戸は4年前に謎の死を遂げたはずの先輩捜査員・須波通(渋川清彦)の姿を見かけたことから、なぜか命を狙われるようになっていく。武監督と足立のコンビが、原作ものを手がけるのは今回が初となった。武監督は、通常の刑事ドラマとは一線を画する、“ミアタリ捜査”の内容に興味を持ったそうだ。「普通の刑事ものとは違い、街中に出て、ただ人を見るだけの地味な捜査をしている人たちに光を当てた原作がいいんです。そういうあまり格好の良くない人たちを描くのなら、足立さんに書いてもらうのが1番いいと思いました。玉木さん演じる白戸と、同棲中の恋人・千春(伊藤歩)とのリアルな関わり合いを描くのも足立さんは得意なので」。足立もミアタリ捜査について「ものすごくアナログな捜査方法!」と驚いたそう。「自分の目だけが頼りの職業というところに1番惹かれました。僕は機械を駆使して捜査するようなものが苦手なので。また、白戸は刑事だけど、千春とは出会い系サイトで知り合っていて、よくある普通のカップルとは少し違う。そこが本作の脚本を書いてみたいと思ったポイントでした」。『百円の恋』や『嘘八百』(17)の他、『きばいやんせ!私』(3月9日公開)でもタッグを組んでいる2人。お互いの魅力はどういう点にあるのか?武監督は「足立さんにしか書けない台詞がある」とキッパリ断言する。「足立さんが書いた台詞を読んで『なんだこれは?』と思うことがあるんですが、そういうものがすごくいいです。足立さんにしか書けないと思える言い回しやト書きが入ってくると『足立さんらしいな』と思い、それを画にして芝居を作っていくと、とてもやりやすいんです」。さらに「本人に言ったら怒られるかもしれないけど」と前置きしたあと「シナリオライターっぽくないところがいいです」と指摘。「シナリオの教科書どおりのものが上がってこない。楽譜でいうと、よくわからない音符が入ってきたりするので、そこをちゃんと画にしなきゃと思えるわけです」。足立は「武さんは、そこをおもしろがってくれる数少ない監督です。自分じゃよくわからないところは排除する、という監督の方が多いですから」と笑う。「他の監督さんだと、さんざん削られて、ダメ出しをくらいそうなところを残してくれるのが武さん。しかも、撮ってほしいと思うシーンを必ず撮ってくれるんです」。武監督は「僕はシナリオライターとしての足立さんだけを見ていないから」とも言う。「脚本には、普段見ている人間味のある足立さんらしいな、生っぽいなと思える瞬間が書かれている。そこが足立さんにお願いしたいと思う大きな理由です。自分のなかにあるものは当然現場で出せますが、ないものは出せないでしょ。足立さんは、自分では絶対に考えつかないような台詞を書いてくれるし、そうじゃないとお願いする意味がない」。それは武監督が、脚本家に限らず、人と仕事をしていくうえで常日頃、考えていることだ。「俳優でもスタッフでもそうですが、変な意見を言う人がいたら、その人の意見がおもしろい。『なんだそれ?』と思ったものが宝になると、僕は思います。俳優さんが役を演じる時、『え?そんなの脚本に書いてあったっけ?』と思うことがあるけど、それを『なるほどな』と思えるのなら、そこを大事にしたい。できるだけ多くの人にいろいろなものを出してもらわないと、何万人ものお客さんには届かないと思っているので」。足立も「シナリオライターとして初めて試写を観る時、自分が書いた脚本だから観客として驚くことは少ないと思うんですが、武監督作では、いつの想像以上のものが上がってくるので、一観客として観るのが楽しいんです」と、武監督に絶大な信頼を寄せている。「映像を頭のなかで想像して台本を書きますが、それを常に上回ってきてくれるので、いつもワクワクします。たとえば、ここが見せ場だというシーンで、画に映っているもの、俳優さんにしろ、なににしろ、こういうふうに仕上がったのか!と、良い意味での裏切りがある。僕はシナリオを書く時、『現場なんて知ったこっちゃねえよ』というシーンも書いてしまうんです。たとえば、単純に撮影が大変そうなシーン以外に、けっこうキワドイ台詞などもぶつけますが、武さんはそういうものも楽しんでくれます」。今回も2人のタッグ作ならではの見せ場がたくさんある。最後に「連続ドラマW 盗まれた顔 ~ミアタリ捜査班~」の見どころを、武監督に聞いた。「いままでこういうクライムストーリーを2人でやったことはなかったけど、2人とも好きなジャンルなので、思い切って70~80年代の映画のようなテイストを入れました。羽田さんの原作からもそういう要素を感じたので、敢えてそこに挑戦しました。また、平成が終わり、新しい時代になるなかで、東京タワーなど昭和の象徴みたいなものを収めたりして、何年後かには失われているかもしれない東京の姿を撮っていこうと思った作品です。出てくる俳優もおもしろいので、ぜひ楽しんでほしいです」。

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