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韓国時代劇×ゾンビ!? Netflixが放つ大作「キングダム」の現場に潜入

2019年01月07日(月)配信

そのスケールの大きさゆえ、製作に約2年もの歳月を費やした韓国発のNetflixオリジナルシリーズ「キングダム」が、1月25日(金)より配信される。全6話からなる本作は、李氏朝鮮を舞台に、本格時代劇とゾンビスリラーを組み合わせた野心作。王が病に倒れたといううわさが国を揺るがすなか、大流行の兆しを見せる不気味な疫病。王宮に渦巻く悪しき陰謀から民衆を救うため、王子である世子は国を脅かす疫病の調査に乗り出すが、やがて残酷な真実が明らかになってゆく…。撮影現場に潜入したのは昨年2月。韓国・ソウルの厳しい冬の寒さを乗り越えたスタッフ・キャストは、いよいよ撮影の佳境を迎えようとしていた。広大なオープンセットには、李氏朝鮮時代の衣装に身を包んだ多数のエキストラが行き交い、さながら城下の賑わいを見せる。本格的な時代劇として丹念に作りこまれた本作の世界観に“ゾンビ”を登場させるうえでどのような工夫があったのだろうか。本作の衣装デザイナーのクォン・ユジンはこう話す。「彼らもゾンビになる前は人間だったわけですから、それが貧乏人だろうと金持ちだろうと“人間を描く”ということに意識を置きました。美しく穏やかだったキャラクターたちが人間性を失い、ゾンビへと変わり果てる一連の過程ですね。撮影スタッフは見事な仕事をしてくれて、映像の仕上がりにはとても満足しています。ゾンビは着替えるわけじゃないですから、彼らはゾンビになっても人間だった時に着ていた服をそのまま身につけているんです」。また、美術監督のイ・ホギョンは、本作に登場するゾンビを「貧しく恵まれない生活を送る人々の象徴のような存在」と表現する。「美術監督としては当時の下層階級の実生活を再現するべく努力しました。ゾンビの外見については、多くの歴史的資料を参照したうえで考えだしました。たとえば肌の色合いや髪型をはじめ、李氏朝鮮時代の人々の身体的特徴を参考にしています。庶民の生活は過酷でしたから、いまの人からしたらそもそもゾンビのように見えるかもしれないと思いました。それに加えて、鋭く尖った歯や血に飢えているといった伝統的なゾンビの特徴も強調したので、興味深いものに仕上がったと思います」。「キングダム」は『最後まで行く』(14)、『トンネル 闇に鎖(とざ)された男』(16)などで知られるキム・ソンフンが監督し、「冬のソナタ」「シグナル」のキム・ウニが脚本を担当と、人気作品を手掛ける2人がタッグを組んだことで話題になっている。本作が既存の作品と一線を画する理由を、ソンフン監督は「ストーリーそのものの強固さ」だと語る。「宮殿内の勢力争いをめぐるメインストーリー、当時の庶民たちを描くサイドストーリー、多彩なキャラクター…これだけでも上質なドラマが作れるのです。しかしゾンビという大衆的なコンセプトを李氏朝鮮の時代に配置することで、静謐な美と醜悪だがダイナミックな娯楽という、ほかにない組み合わせを生み出すことができました。2つの要素が衝突した時に生じる力が、緊張感と美しさをさらに別次元へと高めてくれるのです」。本作の物語を長い間構想していたというウニは、“ゾンビ”という空想上の存在を真に迫ったものにするための、脚本上の工夫を明かしてくれた。「私はゾンビを疫病と飢饉に苦しむ人々と捉え、すべての階級の人たちが疫病という危機を克服しようとする物語を作り上げました。李氏朝鮮の年代記には謎の病気によって何万という人々が死んだと言及されています。『これは一種のゾンビの病なのでは?』と企画を練りながら思ったのです。また、本作の舞台となるのは壊滅的な戦争があった後で、人々が非常に貧しく困窮している時代です。李氏朝鮮を選んだのは、この時代には飢餓や飢饉が珍しくなかったからです」。チュ・ジフン、リュ・スンリョン、キム・サンホ、ホ・ジュノ、キム・ソンギュ、チョン・ソクホら出演するキャストの豪華さも注目を集めているが、そのなかでも特に日本の映画ファンにも馴染みが深いのは、キャリア初期の『リンダ リンダ リンダ』(05)、『空気人形』(09)で日本映画にも出演しているペ・ドゥナだろう。取材時に公開されたシーンは、本作で“呪医”を演じる彼女が感情を露わにする場面。リハーサルの段階から鬼気迫る表情で役を演じ切る彼女は、韓国では長い間にわたってトップ女優として映画を中心に活躍している。テレビシリーズに出演したきっかけ、また初出演となった時代劇への挑戦について語ってくれた。「キム・ソンフン監督から連絡をもらった時、このチャンスを断る理由なんて見つかりませんでした。監督とは『トンネル 闇に鎖(とざ)された男』でご一緒したことがあり、それがとても素晴らしい経験だったので、たとえ小さな役でも連絡をもらえれば引き受けますと約束したんです。私が監督に絶大な信頼を置いている理由は、どんなディテールもおろそかにしないからです。『これだ!』というシーンができるまで、絶対に諦めない完璧主義者ですね」。「これまで時代劇に出たことはなかったので、ピニョ (韓国の伝統的なかんざし) を着けたことが一度もなかったんです。ですから、ある意味では挑戦ですね。私の役柄は貴族ではないので麻の服を着ていますが、本当に寒さとの闘いでした。あとは言葉遣いも現代のものとはまるで違うので、英語や日本語のセリフを喋っているのと同じような感覚でした」。最後に、気になる今後の日本映画への出演予定などについて尋ねると、ドゥナは人懐っこい笑顔を見せて答えてくれた。「映画に国境はありませんし、いい映画のオファーを頂ければいつでも日本に行きたいです。『リンダ リンダ リンダ』と『空気人形』は私にとって特別な作品で、映画という世界での新たな一歩となりました。それと、外国語で演技をしてもちゃんと伝えることができるという自信を与えてくれたんです。日本のファンのためならいつでも飛んでいきますし、近いうちにきっとその機会はあると思います」。

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