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『天気の子』新海誠監督に、読者の疑問をぶつけてきた!野田洋次郎への愛の告白(!?)から、夏美の就職先まで一挙に解答!

2019年08月12日(月)配信

新海誠監督による最新作『天気の子』(公開中)は早くも興行収入60億円を突破するなど、大ヒットを記録中。なんとムンバイ、デリーをはじめとするインド全国20都市で、10月11日(金)から公開されることも決定した。新海ワールドが、ますます多くの人々を魅了している。そこでMovieWalkerではユーザーから質問を募り、新海監督ご本人に答えてもらう“AMA”(=Ask Me Anythingの略。ネットスラング風に言うと「新海誠だけど、何か質問ある?」といった意味)を実施。あなたの疑問・質問、そして愛を監督にぶつけてきました!たくさん届いた質問を見るや、「すごくうれしいです。ありがとうございます」と笑顔の新海監督。『天気の子』のシーンに隠された想いや、意外な素顔が明らかになった「Ask Me Anything」、いざスタート。■ 「冒頭の船のシーンで、帆高は雨が降ったことを喜んだように見えました。彼はどのような気持ちだったのでしょうか?」(10代・男性)「冒頭の船のシーンは、帆高の傾向や性格のようなものを描いたつもりです。『非常に激しい雨が予想されます。安全のため、船内にお戻りください』という放送がかかり、みんなが船の中に戻っていくんですが、そんななか帆高だけは逆方向に歩いていく。『この男の子は、人と反対の方向に行ってしまうんだ、大人に言われたことと逆のことをやってしまうんだ』ということを描きたいと思っていました。大雨に喜んでいるのは、島を出てきた解放感もあると思います。帆高はみんなが嫌がるような、危険だと思うようなことに解放感や喜びを感じてしまう。そういった、物語の行く末を示しているシーンになります」■ 「夏美さんは無事に就職できたのでしょうか。どんな職に就けたのか気になって仕方ありません!」(30代・男性)「映画を何回か観ていただくとわかるんですが、夏美のかぶっていたヘルメットが、エピローグのある場所に置いてあるので、ここで働いているのかなと思ってもらえるかと思います。じっくりご覧いただいて、ヘルメットを探してみてください」■ 「新宿を舞台にする理由を教えてください」(20代・男性)「単純に、僕が新宿を好きだというのが一番の理由です。長野の田舎で育って、上京して最初に行った街が新宿でした。僕は1992年くらいに東京に来たんですが、新宿都庁がちょうど出来上がったころで。『シティーハンター』の街という印象もあって、新宿駅の掲示板には必ず『XYZ…』なんて書かれたりしていたころですね(笑)。そういった勢いのある街で、僕は新宿に憧れがあったんです。なので、どうしても新宿が自分の作品に出てきてしまうのは、新宿が好きだし、自分も近くに住んでいるし、普段よく目にしている風景だから。そして新宿というのは、包容力のある街だという気もしています。老若男女、外国人の方もいて、いろいろな職業の人がいる。清濁あわせのむような“寛容さ”を感じています。帆高のような男の子にとっては怖い街かもしれませんが、僕にとって新宿は、歩いているだけで少し安心する街です」■ 「劇中では、実在の場所がかなり忠実に再現されていましたが、そういった描写を行う意図はなんなのでしょうか?」(20代・男性)「自分が馴染んでいたような景色も、ここ10年で大きく変わってきています。例えば『君の名は。』のラストに、千駄ヶ谷駅から三葉が駆けだしてくるカットがありますが、千駄ヶ谷の駅もそのころといまでは変わってきていますよね。毎回アニメーションのなかに現実の風景を描いていると、昔の作品には、絵として“あのころの東京”といったものが刻印されていることになります。そういう役割も、アニメーション映画としておもしろいものなのではないかなと思っています」■ 「一年間、住むとしたらどこの国のどこに住みたいですか?ただし、東京都、長野県以外で。また、その理由もあれば教えてください」(40代・男性)「僕は1年半くらいロンドンに住んだことがあって。東京は憧れの場所だったけれど、そこにも慣れてきて、『もっと未知の場所に行ってみたい』という思春期めいた気分もあったのかもしれません(笑)。ロンドンもとても楽しかったんですけれど、東京に戻ってきた時になんだかとても安心したんです。それと同時に、自分が見てきた風景というものが、こんなにも人格に作用しているものなんだということも実感しました。『天気の子』にも鳥居やお盆の風習などが出てきますが、いまはそういった日本ならではのものをもっと掘ってみたいという気持ちが強いです。日本の地方都市には、いろいろと住んでみたいところはありますね。舞台挨拶などで日本各地を周るんですが、『イカしているな』と思う場所がたくさんあります」■ 「本作はセカイ系と捉えられることが多いですが、抵抗感はありますか?」(30代・男性)「僕自身はセカイ系ということは一切、意識せずにつくっていました。それは昔からそうで、自分が気になっているテーマや、みんなが共有しているような気持ちを描いたことが、結果的にセカイ系と言われているだけだと思っています。SNSなどでは、いろいろとおもしろい広がり方をしてくれているのをよく目にします。すごくうれしいなと思っています」■ 「RADWIMPSに出会って、作品に対しての考え方が変わったりしたことはありますか?」(10代・男性)「『君の名は。』より前は、『自分の作品のことを一番わかっているのは、自分だ』と思っていました。でもRADWIMPSからいただいた歌詞を見て、『彼らは僕以上に映画の大事な部分をわかっている』という感覚を突きつけられました。RADWIMPSと出会ったことで一番大きいのは、『自分の作品に対して、自分が絶対ではないんだ』ということを感じたことかなと思います。そう思える人と一緒にものづくりができるようになったことは、すごく幸運でした。仕事に向き合う態度もすばらしく、(RADWIMPSの野田)洋次郎さんは、今回『僕の力を全部使ってください』という気持ちで、献身的に取り組んでくださいました。ものすごくかっこいいなと思いましたし、僕、洋次郎さんを好きになりすぎてしまって(笑)。もし自分が女性だったら、ちょっと困るくらい好きになってしまっていたと思います」■ 「野田洋次郎さんからもらった言葉で、うれしかったことはありますか?」(30代・女性)「洋次郎さんに『新海さんは、詩人ですね』と言っていただいたことです。僕は、洋次郎さんを稀代の詩人だと思っています。人々がほしい言葉をどこからか汲み上げて、それを伝えてくれる詩人。僕が一番好きだと思っている詩人に、『詩人ですね』と言われたことがものすごくうれしかったです」■ 「作業中に何かBGMなど聴きますか?集中出来る音楽を教えてください」(20代・女性)「脚本を書いている時やビデオコンテを作っている時は、音楽があると気分が流されてしまうので、聴きません。絵を描く作業に入ると結構、聴いていますね。『天気の子』の作業中は、若いアーティストの方の曲を聴いていました。『ヨルシカ』や『ナナヲアカリ』、そしてアイドルソングもよく聴いていましたね。『君の名は。』で日本アカデミー賞の時に、プレゼンターをしていただいたのが『ももいろクローバーZ』の百田夏菜子さんだったんですが、お恥ずかしいことに僕はその時に『ももクロ』を知らなくて…。あとで聴いてみたら、ものすごくよくて!それからはよく『ももクロ』を聴いています。あと『BiSH』、『虹のコンキスタドール』、『lyrical school』など。10代の爆発的衝動のようなものが、アイドルソングにはあふれているように思うんです。その影響は受けているかもしれませんね。例えば、『ももクロ』の『走れ!』という曲がありますが、その衝動は、夏美が帆高に『走れ!』と言った気持ちともどこかつながっているような気がします」■ 「最近観ているアニメは?」(10代・男性)「制作中は忙しくて、なかなか観られませんでした。『海獣の子供』も観に行きたかったんですが、行けなくて…。作業が佳境に入る前に『スパイダーマン:スパイダーバース』は観に行きました。僕がやりたいのはこちらの方向ではないなとも思いながらも、新しい映像表現でものすごくおもしろかったです」■ 「作品の内容はもちろん大好きなんですが、それと同様、色使い、色の表現も毎回心躍るくらい引き寄せられます。新海誠作品の中で、一番大事にされてる色は何色でしょうか?毎回テーマ色みたいなのはあるのでしょうか?」(30代・女性)「つまらない答えかもしれないですが、アニメーションにおいて技術的には“白”が一番大事な色です。白というのは、周りの環境をもっとも受ける色で、すごく色を作るのが難しいんです。例えば『天気の子』の陽菜は白いパーカーを着ていますが、カットごとにピックアップしてよくよく見てみると、緑だったり、青だったり、ピンクだったりすると思うんです。それは周りがどういう色なのかによって、白という色が変わるからなんですね。環境の影響を一番受けるのが、白。白をどんな色にするかで、そのシーン全体が大きく変わるので、一番大事な色は白です」■ 「今回この映画の結末に帆高など様々な人物の決断がありますが、その決断には僕には愛の大きさを感じました。新海監督が考える最も強く大きく人を動かす感情は愛でしょうか。それとも他の感情でしょうか」(10代・男性)「どの感情に動かされるかは人それぞれかと思います。僕自身は喜怒哀楽でいうと、“哀”ですね。人によって、うれしいことが原動力になったり、怒りが原動力になったりする人もいると思いますが、僕はどうしても“哀”や“せつない”といった感情に惹きつけられます」■ 「自分はいま、高校2年生です。将来何を目指したいか全く決まっていなかったところ新海誠監督の影響を受けて映画製作に関係できるような仕事に就きたいと思いました。そのためにはいまはなにを勉強したら良いのでしょうか?」(10代・男性)「なにをやりたいかにもよると思うんですが、もしアニメーターになりたいとしたら、たくさん絵を描くことが大事だと思います。いまはネットなどでも無料で勉強できる方法がありますから、絵を描けば描くほど、勉強になると思います。また僕のように、脚本を書いたり、監督としてやっていきたいならば、いま持っている感情、例えば『あの子が好きだ』『この先生が嫌いだ』『あの友達が憎くて仕方ない』とか、もちろんもっとポジティブなことでもいいんですが(笑)、そういったいま持っている一番強い気持ちを、鮮やかに心に保存しておくことが大事だと思います。喜怒哀楽の鋭さは、年を重ねるごとに柔らかくなってしまうもの。10代に感じた“激しさ”を記憶しておくと、30代、40代になってものづくりをする時に、大きな水源のようなものになると思います」■ 「新海監督は、ここ数年は“3年周期”で作品を世に送り出しています。次回作の構想があれば教えてください」(10代・男性)「漫画や小説のように、もっと早く新作を送りだせるといいんですが、アニメは手間がかかるので、3年が最短だと思っています。5年、6年とかかる作品もあると思いますが、あまり時間をかけすぎると、その時にやりたいことと、お客さんが観たいことがちょっとずつズレいってしまうような気もしますので、3年くらいが理想的なのかなと思っています。もし夏休みというものがあるならば、次の映画のことを考え始めたいですね。早く作らないと、また3年後に見ていただけるかわからなくなりますから。構想は、まだゼロですが…。これから頑張ります!」

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