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ポイントはアイライン!?「攻殻機動隊ARISE」メカニックデザイナーが明かす新生マジンガーZデザイン裏話

2018年01月26日(金)配信

1月13日の公開以降、好調な興行を続けている『劇場版 マジンガーZ / INFINITY』 。TVアニメの10年後を舞台に、スーパーロボット・マジンガーZの武器乱舞の活躍がスクリーン狭しと繰り広げられる。そのマジンガーZを現代的な描写と、原作者・永井豪のタッチを見事に取り入れセル画タッチのCG表現用にデザインしたのは、ロボットアクション・ゲーム「アーマード・コア2」やディズニー製作のアニメ「ファイアボールチャーミング」(11)、「攻殻機動隊ARISE」(13)などでメカニックデザインを手掛けた柳瀬敬之だ。

■ 『パシフィック・リム』風も!リアルかセルかの試行錯誤

「僕は関西圏なので、『マジンガーZ』は再放送で見た世代。『グレートマジンガー』『グレンダイザー』、それに『デビルマン』とずっと再放送してましたね(笑)」という柳瀬。今回、マジンガーZのデザインを「監督が決まる前、かなり初期から依頼されました」という。

「2014年の6月ごろに、東映アニメーションさんが『マジンガーZ』をCGで描くのでと、ダイナミック企画さんに見せるコンセプトデザインを依頼されたのが始まりです。ちょうど東映アニメさんが『キャプテンハーロック』(13)とか『聖闘士星矢 LEGEND of SANCTUARY』(14)を製作されたころで、そういうリアルな方向性かな?と思っていました」

フルCGのリアル路線か、TVアニメのタッチを踏襲するかと並行して、デザインも試行錯誤が重ねられた。「『パシフィック・リム』(13)風の間接ガチガチなマジンガーZとかもデザインしました。『ゴッドマジンガー』や『デビルマン』『手天童子』など関連作や永井先生の他作品からアイデアを持ってきたりもしました。ダイナミック企画さんの反応はいまいちでしたけど(笑)。そうして結果的に、マジンガーZはあくまでTVアニメの“あのフォルム”を踏襲する方向性でまとまり、キャラはアニメーション、メカはCGだけどセルシェードで描くことに落ち着いたんです」

■ 女性の化粧に通じる!?マジンガーメイクとは?

リアル路線からセルタッチのCGデザインへ詰めていく作業では「セルシェードのデザインに固まって、間接部の線や隙間のグレー部分をだいぶ減らしました」という。「脚部や腹部など、どうしても工学的に違和感を感じる関節には、可動部分を付け加えています。その上でだいぶ線を減らしました。とにかくマジンガーZのデザインには時間を要しました」

マジンガーZの頭部は細かな調整が何度も繰り返されたが、基本的なデザインは変わっていない。しかし目の周りについて「おもちゃを観察していても気付けなかった、実際に描いていて発見したことがあった」という。「煽りで見るとわかりやすいんですけど、マジンガーZって目の上部に黒い縁取りがないとマジンガーZに見えないんですよ。ほんのちょっと目と冠部の間に細く黒い線が入るか入らないかで、全然印象が変わっちゃう。女性のアイメイクみたいな感じですよね。これに気付いたのはビックリしました。細かなこだわりですけど、そういうパーツの角度を変えて確認する工程の繰り返しでした」

■ 真似できない!?永井豪が描く女性のボディバランス

「マジンガーZはとにかく時間が掛かりましたけど、(マジンガーZで方向性が決まった後の)グレートマジンガーはすっと描けましたよね(笑)」という。敵味方含め他のメカデザインも担当しているが、マジンガーZと違う理由で大苦戦だったのが女性型スーパーロボット・ビューナスAのデザインだったという。

「永井先生が描く“女性のボディバランス”じゃないと、ダイナミック企画さんからOKをなかなかもらえず…。『これは私には無理だ!』とCGで調整したものをダイナミック企画さんに確認していただき、顔はキャラクターデザインの飯島弘也さんに参考デザインを描いてもらいました。もはやメカではなくキャラクター、本当に難しかったですね。ちなみにボスボロットは、ちょっとディテール足しただけで十分だったんですけど(笑)」

また、最強最大の敵“インフィニティ”のデザインも柳瀬が担当している。「インフィニティは古代ミケーネ帝国から来た“第3のマジンガー”という依頼でした。いわばマジンガーの原点である可能性もあるんですよね。色調や質感はダイナミック企画さんの要望でゴッドマジンガーも参考にしつつ、西洋絵画のゼウスなどの神々しいイメージを大きな冠や髭、マントなどで表現しました。かつマジンガーに見えないと…というさじ加減ですね。全高約600mの超巨大“遺跡”ということで、美術的なタッチのテクスチャーを美術監督の氏家誠さんにお願いしました」

■ おもちゃが欲しくなるデザインを

デザインがほぼ固まり、CGによる作画が始まる際、「バンダイさんの“超合金”シリーズのマジンガーZをCGチームにサンプルとして渡したんです」という。

「『これくらいの(精巧な)表現をしたい』『この(体型の)バランス感覚が良いので参考にしてほしい』と伝えました。これまでマジンガーZを幾度も立体化されてきたバンダイさんの蓄積を活かさない訳はないと思いましたね。おもちゃをいろいろ見ることもデザイン作業で重要でした。『どうデザインしたら欲しがられるおもちゃになるのか?』と、この考えもおもちゃと共に歩んできた『マジンガーZ』には大切なことだと思いましたから」

そうしておもちゃを考察しながらデザインを進めていると知られざる‟おもちゃ限定の設定”を知って驚かされたともいう。「おもちゃのために加わったギミックや設定もあって、それを今回の設定に加えようとすると他のスタッフさんに止められてビックリしました(笑)。例えばマジンガーZがロケットパンチを放つポーズで、発射する腕の肘部をもう片方の腕で掴んで撃つポーズはおもちゃのオリジナル設定だったんですよね。東映アニメのTVシリーズでは描かれてなかったそうで、助監督のなかの★陽さんに教えてもらった時は驚きでした」

■ いつかグレンダイザーもデザインしたい!

「マジンガーZの武器無双のシーンは本当に気持ち良かったです。ガンガン動くし、限られた時間でよく表現したよなぁ。東映アニメさん、(CGスタジオの)オレンジさん、気合入れ過ぎって思いました」と映画の感想を語る。「冒頭のグレートマジンガーの無双シーンも凄かった。あれ実は最初のシナリオではもう少し短いシーンなんですよね。たぶん監督をはじめスタッフのこだわりが加わったのかと思います。かっこよくて感動的でした」

普段はゲーム界隈での仕事も多く、同業者から「『マジンガーZをデザインしたんだって?』とよく声を掛けられます」とも明かす。「だいたい『(シリーズ続編の)グレンダイザーってどうなっているの?』と聞かれるんです。お茶を濁す感じで返すんですけど、企画が続いて、いずれはグレンダイザーとか、鋼鉄ジーグとかもデザインできたら。今回をきっかけに先へ繋がるといいですよね」

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